【10月1日施行】「知らない」では済まされない!ステマ規制のポイント

10月1日からステルスマーケティングの規制が強化され、「景品表示法違反」となりました。
その背景には、YouTuberやインフルエンサーの増加による「インフルエンサーマーケティング」の市場規模拡大があると考えられます。
(参考:https://www.cyberbuzz.co.jp/2022/11/post-1791.html )

今回は、ステルスマーケティングのリスクを改めて認識するとともに、規制のポイントを解説したいと思います。

目次[非表示]

    1. 0.1.ステルスマーケティング(ステマ)とは
      1. 0.1.1.ステマは何故いけない?
        1. 0.1.1.1.①消費者を騙している
        2. 0.1.1.2.②業界の信用性が低下する
      2. 0.1.2.ステマ規制で何が変わる?
        1. 0.1.2.1.① 広告と分かりにくいものは×
        2. 0.1.2.2.②対価の有無は関係ない
        3. 0.1.2.3.③従業員SNSでの紹介も注意


ステルスマーケティング(ステマ)とは

ステルスマーケティングとは、消費者に対し、広告であることを隠して宣伝を行なうことを言います。
ステマの手法は、主に2つあります。

①    一般消費者になりすまし、口コミを投稿する
②    有名人やインフルエンサーに依頼し、SNS等で紹介してもらう

 
企業が自らメリットを謳った広告よりも、第三者の感想の方が中立的で信用性が高いと感じる消費者の心理を利用した行為、というわけです。


ステマは何故いけない?

では、ステマは何故いけないのでしょうか。理由は、大きく2つあります。

消費者を騙している

株式会社オンジンのアンケート調査では、500人のうち64.0%が、「広告(PR)」と表記されていた場合、「購入を控えるようにする」と回答したとの結果が出ています(参考:https://onjin.co.jp/blog/survey-3)。
こうした考えの人が多いなか、広告であることを表示せず第三者の感想を装うことは、消費者を騙す行為になります。

業界信用低下する

ステマが発覚した場合、何も悪くない企業や人にも影響を及ぼすことが考えられます。
例えば、
・純粋に商品やサービスを紹介している人
・広告業界
・同業他社 etc.
ただ単に商品を紹介した・されただけなのに、疑心暗鬼になった消費者から「もしかしてステマ?」と疑惑の目が向けられ、結果として業界全体の信用が低下することも考えられます。

​​​​​​​ステマの事例

代表的な事例として「ペニーオークション詐欺事件(2012年)」があります。
有名タレント数名がオークション運営会社から報酬を受け取って、「高額商品を格安で落札した」と虚偽のブログを投稿していたことが問題となりました。タレントらは、今もなお「ペニオク詐欺に加担していた」などと糾弾される場面が見られます。
 
なお、ステマ本則においては、企業から依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象とはなりません。しかし、先述の通り、一度付いてしまった悪いイメージを回復させるのはとても困難になるでしょう。

ステマ規制で何が変わる?

今年の10月1日から、ステマは景品表示法違反(不当表示)となりました。
違反した場合、消費者庁から措置命令が出され、同庁のHPで事業者名や措置命令の内容が公表されます。命令に従わない場合は、2年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。措置命令が出されれば、報道がされ、炎上も起きると予想されます。企業は大きなダメージを負うことになるでしょう。
 
なお、規制施行前に公開された動画や投稿も規制対象となるため、企業は過去に発信した情報を今一度チェックした方が良いでしょう。

ステマ規制のポイント

では、今回のステマ規制ではどんなことが「違反」と見なされるのでしょうか。
特に注意したい点を3つ紹介したいと思います。

① 広告と分かりにくいものは×

「広告」「PR」といった広告表記をしなければならない、というのはご存知の方も多いと思います。
それに加え、今回のステマ規制では次のような行為が「違反」となるため注意しましょう。
・広告表記を部分的に表示する
・広告表記を周囲の文字より小さく表示する
・広告表記の色を薄くする
・広告表記を大量のハッシュタグの中に紛れ込ませる
・広告表記を末尾に表示する
・長文にして広告であることを分かりにくくさせる
・「広告」と表記しつつ、「第三者の意見です」などと書く(また、その逆も)
・動画において、広告表記を短時間だけ表示する

対価の有無は関係ない

対価を払わない場合でも、インフルエンサー等の第三者に依頼や指示をすれば、違反となります。また、直接的な依頼や指示をしていない場合でも、企業と第三者との間に強い関係性があると判断される場合も違反と見なされます。例えば、無料サンプルをもらった第三者が、企業に忖度して好意的な商品文芸評論を書いた場合もアウトです。あくまで第三者の「自主的な意思」によって書かれたものでなくてはならない、というのがポイントになります。

従業員SNSでの紹介も注意

販促や開発に関わる地位や立場の従業員がSNS等で商品を紹介した場合、「企業と一体」と判断され、違反と見なされます。そのため、投稿には”自社商品である”という表示を行なわなくてはなりません。
それ以外の従業員や子会社社員など、販促に直接関わらない立場で一般消費者でも知り得る情報を発信する場合には、特に問題はありません。

まとめ

ステマ規制に違反しないために重要なポイントは、
・広告であると分かりやすく表示すること
・企業と投稿者の関係を明示すること

この2点を意識して、正しい宣伝活動を行ないましょう。
また、消費者側もステマの問題点を理解し、情報を見極められるよう心がけたいものです。


■参考:消費者庁ホームページ
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/


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危機管理情報調査部
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