生成AIで謝罪リリースは作成できるか
皆さんは「ChatGPT」などの生成AIを使用したことがありますか。
ChatGPTはAIと思えないほど自然な会話ができるだけでなく、プログラムや文章の作成も可能なため、すでに様々なサービスがリリースされ、活用しているユーザーも多いかと思います。
では、このChatGPTが作る文章は、広報業務上でそのまま利用できるのでしょうか。
ワイズワークスプロジェクトでは、プレスリリース作成のアドバイス業務も行っています。
そこで今回は、文章作成の面から、ChatGPTの実力を探っていこうと思います。
※この検証は、GPT-3.5で行っています。
- 1 ChatGPTへの依頼内容
- 2 ChatGPTによる謝罪文
- 3ワイズワークスプロジェクトによる謝罪文
- 4結論
●ChatGPTへの依頼内容
ChatGPTは、役割や条件を明確にした方が望ましい回答を得られやすいとされているため、 「顧客情報の漏えい」をテーマとし、以下のような条件を設定して依頼してみました。
●ChatGPTによる謝罪文
上記の依頼内容によって、作成された謝罪文がこちらです。
平素より、当社をご愛顧いただきまして、誠にありがとうございます。
この度、弊社において、お客様の大切な個人情報が漏えいしてしまったことを深くお詫び申し上げます。以下、詳細をご説明させていただきます。
2023年●月●日に、当社従業員が業務に使用していたノートパソコンを入れたリュックサックを紛失してしまいました。そのノートパソコンには、100名分のお客様の個人情報が保存されており、氏名、年齢、住所等の情報が含まれていました。
当該のノートパソコンは、パスワードでロックされていたため、不正なアクセスがされる可能性は低いと考えられますが、お客様の大切な情報を保護できなかったことは、大変遺憾であり、深くお詫び申し上げます。
当社では、ノートパソコンの持ち出しは禁止されており、持ち出す場合には上司の許可が必要であることを定めておりますが、このような事態が発生してしまいましたこと、再度、反省の意を表明いたします。
紛失が判明した時点で、当社従業員は速やかに警察署に紛失届を提出し、また個人情報保護委員会へも報告を行いました。また、漏えいした可能性のあるお客様に対しては、責任者が訪問し、事情を説明し、深くお詫び申し上げました。
このような事態が二度と起こらないよう、当社では管理体制の見直しを行い、全社員に対して個人情報の持ち出しを禁じた規程の徹底周知を行いました。今後も、お客様の大切な情報を守るために、取り組みを強化してまいります。
お客様には、大変ご迷惑をおかけし、また不安をおかけしてしまったことを心よりお詫び申し上げます。今後とも、より一層の信頼をいただけますよう、努めてまいります。
以上、重ねてお詫び申し上げます。
●●株式会社 お問い合わせ窓口:TEL ×× – ×××× – ××××
条件を詳細に設定したため、ある程度形が整ったものが出力されました。
しかしながら、
・冒頭の謝罪において、誰に対しての謝罪か明記されていない
・「遺憾」というワードは、謝罪の意味が含まれておらず、他人事のような内容になってしまう
・「お詫び申し上げる」「反省の意を表明する」等の謝罪を表す表現が連続して使用されており、違和感のある文章となっている
といった点から、修正や追記が必要な文章となっています。
●ワイズワークスプロジェクトによる謝罪文
ChatGPTによって作成された謝罪文には、いくつか不自然な点がありました。
そこで、これらの不足点を踏まえて、謝罪文を修正してみたいと思います。
また、「情報漏えいに対する謝罪文」という条件を踏まえ、ステークホルダーがより情報を把握しやすいよう、各段落に見出しをつけた形に整えました。
このたび、弊社の従業員が、業務に使用するお客様情報が保存されているノートパソコンを紛失したことが判明いたしました。お預かりした大切な情報を紛失してしまい、お客様には多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
1.概要
●月●日、弊社の従業員が帰宅途中に、業務に使用するノートパソコンを入れたリュックサックを紛失いたしました。ノートパソコンの中には、100名分のお客様情報が保存されていました。
2.原因
弊社の社内規則においては、個人情報を含むパソコンなどの情報機器の持ち出しは禁止されています。持ち出す場合は、上司から許可を得る必要がありますが、該当社員はその手続きを行っていませんでした。
3.漏えいした可能性のある情報
PC内に保存されていたお客様情報(総件数:100件)
項目:氏名、年齢、住所
4.現在の対応
紛失したパソコンに関しましては、速やかに当該従業員より警察署へ紛失届を提出しています。また、個人情報保護委員会への報告も行っています。漏えいの可能性があるお客様には、弊社の責任者が訪問し、経緯を説明し謝罪を行っています。なお、これまでに情報流出による不正使用等の事実は確認されていません。
5.今後の取り組みについて
今回の事態の発生を重く受け止め、管理体制の見直しを行ってまいります。また、個人情報の持ち出しを禁じた規程の徹底周知を行い、再発防止に努めてまいります。
6.本件に関するお問い合わせ窓口
●●株式会社 (TEL ×× – ×××× – ××××)
●結論
ChatGPTを用いた謝罪文作成について、条件を詳細に設定することで、ある程度形が整った文章を作成できることがわかりました。ただ、修正が必要な点もあり、人の確認が必要であることも分かりました。
もちろん、ChatGPTに追加で依頼を行えば、文章の修正は可能です。
ただし、こういった修正依頼を出すことができるのは、「謝罪文の作成方法」を理解している人だけであり、一から謝罪文を作ろうとする場合は見落としてしまうかもしれません。
そのため、ChatGPTを用いた謝罪文の作成は、「作り方を理解した人が補助的に利用する」方が良いかもしれません。
一方で、ChatGPTをはじめとしたAIは日々進化しています。
さらに学習を重ねることで、より文章が洗練され、出力されたものをプレスリリースにそのまま使う…といった日も遠くないかもしれませんね。
ワイズワークスプロジェクトでは、危機管理マニュアルの作成をはじめ、作成したプレスリリースのチェックやアドバイス、作成代行などにも対応する『危機管理コンサルティング』を提供しています。
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